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 本特例は「NISA(ニーサ)」と呼ばれているも のであり、国民に継続的な資産形成を始めるイン センティブを付与するとともに、経済成長に必要 な成長資金を確保する観点から導入された制度で すが、未成年者口座内の少額上場株式等に係る配 当所得及び譲渡所得等の非課税措置の創設とあわ せ、さらに投資家のすそ野を広げる観点等から、

次の改正が行われました。

⑴ 非課税投資限度額の引上げ

 非課税口座に設けられる各年分の非課税管理 勘定に受け入れることができる上場株式等の取 得対価の額の限度額は、上記1 ⑶②ニイのとお り100万円とされていましたが、投資家のすそ 野を一層拡大し、家計の資産形成を更に支援す る観点から、月々の積立投資に適した金額であ る120万円に引き上げられました(措法37の14

⑤二)。

⑵ 未成年者口座内の少額上場株式等に係る配当 所得及び譲渡所得等の非課税措置の創設に伴う 措置

 前述の「一 未成年者口座内の少額上場株式 等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税の創 設」に伴い、次の改正が行われました。

① 未成年者口座の開設者が20歳に到達した場 合の非課税口座の自動開設

 未成年者口座を開設している居住者等が20 歳になった場合には、その未成年者口座が開 設されている金融商品取引業者等の営業所に、

非課税口座が開設されることとなりました。

 具体的には、居住者等が平成29年から平成 35年までの各年(その年 1 月 1 日において居 住者等が20歳である年に限ります。)の 1 月

1 日において金融商品取引業者等の営業所に 未成年者口座を開設している場合には、その 居住者等は同日においてその金融商品取引業 者等の営業所の長に非課税適用確認書が添付 された非課税口座開設届出書の提出をしたも のと、居住者等は同日にその金融商品取引業 者等と非課税上場株式等管理契約を締結した ものと、その金融商品取引業者等の営業所の 長は所轄税務署長に同日に申請事項を提供し たものと、その金融商品取引業者等の営業所 の長は同日に所轄税務署長に上記1 ⑷④ロに 定める事項を提供したものとそれぞれみなし て非課税の特例が適用されます(措法37の14

)。したがって、未成年者口座を開設して いる居住者等は、特段の手続を行うことなく、

その未成年者口座が開設されている金融商品 取引業者等の営業所に非課税口座が開設され ることになります。

② 未成年者口座から非課税口座への上場株式 等の移管

 未成年者口座から非課税口座に上場株式等 の移管をすることができることとされました。

具体的には、非課税上場株式等管理契約にお いて定められる非課税管理勘定に受け入れる ことができる上場株式等の範囲(上記1 ⑶② ニ参照)に、未成年者口座を開設している居 住者等が、その未成年者口座が開設されてい る金融商品取引業者等の営業所の長に対し、

次の事項を記載した「未成年者口座非課税口 座間移管依頼書」を提出して移管がされる上 場株式等が追加されました(措法37の14⑤二、

措令25の13⑨、措規18の15の 3 ④)。

イ 未成年者口座非課税口座間移管依頼書を 提出する者の氏名、生年月日及び住所 ロ 未成年者口座非課税口座間移管依頼書の

提出先の金融商品取引業者等の営業所の名 称及び所在地

ハ 未成年者口座に設けられた非課税管理勘 定に係る未成年者口座内上場株式等を移管 することを依頼する旨及びその移管を希望

する年月日

ニ 移管しようとする未成年者口座内上場株 式等の種類、銘柄及び数又は価額並びにそ の未成年者口座内上場株式等の受入れをす る非課税管理勘定が設けられた日の属する 年

ホ その他参考となるべき事項

⑶ その他利便性の向上策等

① 情報提供方法の一本化

 金融商品取引業者等の営業所の長から所轄 税務署長に提供することとされている上記1

⑷④イからトまでの事項の提供方法について、

光ディスク等を提出する方法が廃止され、電 子情報処理組織(e-Tax)を使用して送信す る方法に一本化されました(措法37の14⑨⑬

⑯ ⑲ 、 措 令25の13の 2 ④、25の13の 3

②)。この手続の簡素化により、主に、金融 商品取引業者等の営業所の長が上記1 ⑷④イ の非課税適用確認書の交付申請書の提出を受 けてから所轄税務署長が非課税適用確認書を 発行するまでの期間の短縮が見込まれ、非課 税口座の開設手続の迅速化に資することが期 待されます。

② 本店等一括提供制度の拡充

 本店等一括提供制度(上記1 ⑷⑤参照)の 対象となる事項の範囲に、上記1 ⑷④ヘの非 課税口座異動届出書の提出があった場合又は 上記1 ⑷④トの金融商品取引業者等の事業譲 渡等があった場合に、金融商品取引業者等の 営業所の長が所轄税務署長に提供すべき事項 が追加されました(措法37の14、措令25の 13)。

3  適用関係

⑴ 上記2 ⑴及び⑵②の改正は、平成28年 1 月 1 日以後に設けられる非課税管理勘定について適 用し、同日前に設けられた非課税管理勘定につ いては従前どおりとされています(改正法附則 69①)。

⑵ 上記2 ⑵①の改正は、平成28年 1 月 1 日から 施行されます(改正法附則 1 )。

⑶ 上記2 ⑶①の改正は、平成27年 4 月 1 日以後 に提供する申請事項等について適用し、同日前 に提供した申請事項等については従前どおりと されています(改正法附則69③、改正措令附則

23②、24)。

⑷ 上記2 ⑶②の改正は、平成27年 4 月 1 日以後 に所轄税務署長に提供する提供事項について適 用し、同日前に所轄税務署長に提供した提供事 項については従前どおりとされています(改正 法附則69④)。

三 上場株式等に係る譲渡所得等の課税の特例等の改正

1  改正前の制度の概要

⑴ 上場株式等に係る譲渡所得等の課税の特例

① 居住者又は国内に恒久的施設を有する非居 住者(以下「居住者等」といいます。)が、

平成28年 1 月 1 日以後に上場株式等の譲渡

(有価証券先物取引の方法により行うもの等 を除きます。)をした場合には、その上場株 式等の譲渡による事業所得、譲渡所得及び雑 所得(以下「上場株式等に係る譲渡所得等」

といいます。)については、他の所得と区分 し、その年中のその上場株式等の譲渡に係る 事業所得の金額、譲渡所得の金額及び雑所得 の金額の合計額(以下「上場株式等に係る譲 渡所得等の金額」といいます。)に対し、上 場株式等に係る課税譲渡所得等の金額(各種 の所得控除をした後の上場株式等に係る譲渡 所得等の金額をいいます。)の15%相当額の 所得税(他に個人住民税 5 %)を課する(申 告分離課税)こととされています(措法37の 11①、措令25の 9 ①)。

② 上記①の「上場株式等」とは、株式等(株 式、公社債、投資信託の受益権その他平成28 年 1 月 1 日から株式等譲渡益課税の対象とな る株式等をいいます。)のうち次に掲げるも のをいいます(旧措法37の11②、措令25の 9

②~⑩、措規18の10①)。

イ 株式等で金融商品取引所に上場されてい るものその他これに類するものとして次に 掲げる株式等

イ 店頭売買登録銘柄として登録された株

式及び店頭転換社債型新株予約権付社債 ロ 店頭管理銘柄株式

ハ 認可金融商品取引業協会の定める規則 に従い、登録銘柄として認可金融商品取 引業協会に備える登録原簿に登録された 日本銀行出資証券

ニ 外国金融商品市場において売買されて いる株式等

ロ 投資信託でその設定に係る受益権の募集 が一定の公募により行われたもの(特定株 式投資信託を除きます。)の受益権 ハ 特定投資法人の投資口

ニ 特定目的信託(その信託契約の締結時に おいて原委託者が取得する社債的受益権の 募集が一定の公募により行われたものに限 ります。)の社債的受益権

ホ 国債及び地方債

ヘ 外国又はその地方公共団体が発行し、又 は保証する債券

ト 会社以外の法人が特別の法律により発行 する債券(外国法人に係るもの並びに投資 法人債、短期投資法人債、資産の流動化に 関する法律の特定社債及び同法の特定短期 社債を除きます。)

チ 公社債でその発行の際の有価証券の募集 が一定の公募により行われたもの

リ 社債のうち、その発行の日前 9 月以内

(外国法人にあっては、12月以内)に金融 商品取引法の規定により有価証券届出書、

有価証券報告書、四半期報告書、半期報告 書、外国会社届出書、外国会社報告書、外

国会社四半期報告書又は外国会社半期報告 書(以下「有価証券報告書等」といいま す。)を内閣総理大臣に提出している法人 が発行するもの

ヌ 金融商品取引所(これに類するもので外 国の法令に基づき設立されたものを含みま す。)においてその金融商品取引所の規則 に基づき公表された公社債情報(一定の期 間内に発行する公社債の種類及び総額、そ の公社債の発行者の財務状況及び事業の内 容その他当該公社債及び当該発行者に関し て明らかにされるべき基本的な情報をいい ます。)に基づき発行する公社債で、その 発行の際に作成される目論見書に、その公 社債がその公社債情報に基づき発行される ものである旨の記載のあるもの

ル 国外において発行された公社債で、次に 掲げるもの

イ 有価証券の売出し(その売付け勧誘等 が一定の場合に該当するものに限りま す。)に応じて取得した公社債(ロにお いて「売出し公社債」といいます。)で、

その取得の時から引き続きその有価証券 の売出しをした金融商品取引業者(第一 種金融商品取引業を行う者に限ります。)、

登録金融機関又は投資信託委託会社(以 下「金融商品取引業者等」といいます。)

の営業所において保管の委託がされてい るもの

ロ 金融商品取引法第 2 条第 4 項に規定す る売付け勧誘等に応じて取得した公社債

(売出し公社債を除きます。)で、その取 得の日前 9 月以内(外国法人にあっては、

12月以内)に有価証券報告書等を提出し ている会社が発行したもの(その取得の 時から引き続きその売付け勧誘等をした 金融商品取引業者等の営業所において保 管の委託がされているものに限ります。)

ヲ 外国法人が発行し、又は保証する債券で 次に掲げるもの

イ 次に掲げる外国法人が発行し、又は保 証する債券

ⅰ その出資金額又は拠出をされた金額 の合計額の 2 分の 1 以上が外国の政府  により出資又は拠出をされている外国 法人

ⅱ 外国の特別の法令の規定に基づき設 立された外国法人で、その業務がその 外国の政府の管理の下に運営されてい るもの

ロ 国際間の取極に基づき設立された国際 機関が発行し、又は保証する債券 ワ 銀行業若しくは第一種金融商品取引業を

行う者若しくは外国の法令に準拠してその 国において銀行業若しくは金融商品取引業 を行う法人(以下「銀行等」といいます。)

又はその銀行等の関連会社が発行した社債

(その取得をした者が実質的に多数でない 社債とされる一定のものを除きます。)

カ 平成27年12月31日以前に発行された公社 債(その発行の時において同族会社に該当 する会社が発行した社債を除きます。)

(注) 公社債のうち上記イ及びホからカまで に掲げるものは特定公社債とされ、その 利子は利子所得の20%源泉分離課税の対 象から除外されています(措法 3 ①)。

⑵ 上場株式等に係る配当所得等の課税の特例

① 居住者等が、平成28年 1 月 1 日以後に支払 を受けるべき上場株式等の配当等を有する場 合には、その上場株式等の配当等に係る利子 所得及び配当所得については、他の所得と区 分し、その年中のその上場株式等の配当等に 係る利子所得の金額及び配当所得の金額(以 下「上場株式等に係る配当所得等の金額」と いいます。)に対し、上場株式等に係る課税 配当所得等の金額(所得控除を適用した後の 上場株式等に係る配当所得等の金額をいいま す。)の15%相当額の所得税(他に個人住民 税 5 %)を課する(申告分離課税)こととさ

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